熱帯魚界のアイドルともいわれる「ミドリフグ」をご存知でしょうか。
フグと言えば、高級食材のトラフグなんかが有名ですが、アクアリウムで飼育できるフグも多々存在しているんですね。
ミドリフグはその代表的な存在ともいえ、まん丸い姿、可愛らしい仕草から人気が非常に高いです。
ただ、このミドリフグは汽水域に生息する魚であるため、初心者にはやや飼育が難しいと思われがちなんですね。
ただ、事前に飼育方法や注意点を知っておけば、それほど飼育の難しい種ではありません。
天使のように可愛い魚なので、自宅の水槽で毎日眺められたら最高ですよね!
以下では、ミドリフグの飼育方法や導入時の注意点についてご説明していきます。
目次
ミドリフグについて
ミドリフグは、タイからインドの汽水域にかけて生息するフグの仲間です。
古くから親しまれてきた最もポピュラーなフグで、現在でも人気の高い存在となっています。
名前の通り、背中が黄緑~緑いろをしており、黒いドット模様が入るのが特徴です。
そのことから、別名「グリーンスポッテッドパファ」とも呼ばれます。
目の動きが「キョロキョロ」と動く様子が可愛らしく、明らかに僕(飼育者)を目で追っているように見えるんですね。
特に、ミドリフグは小さいうちは好奇心がメチャクチャ旺盛で、何に対しても恐れを知らずに近寄っていくんですね(汗
水槽に近づくと、近寄ってきてくれ、指を動かす(なぞる)とずーっと指の動きに合わせて付いてきてくれることもある可愛すぎるやつなんです!
フグと言えば、怒るとプクーッっと膨れてパンパンになる姿をイメージする方も多いはずです。
ミドリフグも一般的なフグと同じで、身の危険を感じると空気や水を体内に取り込んで体を膨らませます。
これは、自分を大きく見せて相手を威嚇する行動ですが、丸く膨れ上がった姿は僕らから見ると「可愛い」の一言でしかないですよね(笑
だからと言って、怒らせて膨らませるとストレスとなり寿命が短くなってしまう恐れがあるので、意図的に怒らせるのは止めましょう。。。
中には膨らんだまま元に戻らなくなってしまう個体もいるそうで・・・。
ミドリフグは「汽水域」に生息する魚
ミドリフグは、基本的に汽水域に生息するフグです。
汽水域と言うのは、海水と淡水が混ざった場所(河口付近とかですね)で、まあ簡単に言うと「薄い海水」の所に生息しているんですね。
一応、普通の熱帯魚と同じように、純淡水でも飼育は出来ますが、寿命が短くなったり、弱ったりすることがほとんどです。
ただ、野生のミドリフグの中には純淡水域のみで生活する個体も確認されており、生活域にバラつきがあるんだそうです。
とはいっても、基本的にミドリフグは汽水域と同じ「薄い海水」で飼育する魚だと思っていいでしょう。
薄い海水を作るには?
ミドリフグを飼育するには、汽水域を再現した「人工海水」を水槽内に作る必要があります。
※塩は食塩じゃなく、「人工海水のもと」などの専用のものを使用するのがベスト!
普通に飼育するだけならそこまで厳密に、水何リットルに対して塩何グラムと言う風にこだわらなくても全然飼育が出来ます。
例えば、僕の知っている人では、10リットルのバケツで一握りの塩を入れていました。
※一つまみじゃなく、、、一握り・・・結構な量ですね(汗
また、汽水というのは海水の塩分量の約4分の1相当にあたります。
僕が使用している「テトラ マリンソルトプロ」では、1リットル当たり33グラムと表記がありますので、汽水を作り出すには、これの4分の1にあたる8グラムくらいを入れればいいという事になります。
10リットルとなると80グラム必要となるので、一握り入れるというのも頷けますね。
さらに厳密に計りたい場合は・・・
海水とか汽水を厳密に計るためには「比重」と言うものを調べます。
読んで字の如く、塩がどれくらい溶け込んでいるのか重さ調べる方法です。
水は重さに比例しますから(温度によってちょっとだけ変わる)、1ccで1グラム(常温時)になります。
海水だと、1ccあたり1.022グラム~1.023グラムほどあるんですね。
これの4分の1である、1.005~1.006グラムが汽水域と同じ塩分量という事になります。
「そんな、数値で言われても全く分かんないよ・・・」という声が聞こえてきそうですが、水槽に入れるだけでこの数値を確かめられる便利なアイテムがあるんです!
「テトラ ハイドロメーター」は、±0.001単位で測定が出来るのでオススメです。
他にも、同じような便利アイテムが各社から出ているので、自分に合っていると思うものを選ぶといいでしょう。
成長に合わせて塩分濃度も増やす!?
ミドリフグは、淡水で生まれて徐々に汽水域へと移動するという生態系を持っているんですね。
なので、幼魚のうちは上記で濃度(4分の1)で良いのですが、成長するにつれて徐々に塩分濃度を高めた方が飼育が上手くいきます。
ミドリフグの体長が10cmを超えるくらいには、海水濃度の2分の1(1.011~1.012)の比重にすると、元気な状態を維持することが出来るんですね。
ミドリフグの飼育データ
- 体長:最大で15cmほど
- 水質:弱酸性~弱アルカリ性
- 水温:24℃~30℃
- 寿命:3年ほど
- 参考価格:1匹あたり500円前後
ミドリフグは、体長が最大で15cmほどまで成長する中型の熱帯魚です。
天使のように可愛らしい姿とは裏腹に、気性が荒く、同種同士では頻繁に小競り合いをし、他の熱帯魚に対しても攻撃的です。
なので、単一飼育が望ましく、ミドリフグを複数で飼育する場合は隠れ家を多く作ってあげましょう。
水質管理について
ミドリフグは弱酸性~弱アルカリ性という幅広い水質に対応できる熱帯魚です。
ですが、汽水域というのは塩分が混ざることで、弱アルカリ性の水質となります。
なので、通常は弱アルカリ性を維持するよう飼育するのが一般的でしょう。
水質を弱アルカリに保つには、海水魚に用いられる低床の「サンゴ砂」を使用するのがオススメです。
アンモニアの毒性について
熱帯魚にとって有害な物質であるアンモニアは、バクテリアによって分解され、それほど有害でない物質へと変換されます。
ですが、塩の濃度が高い汽水~海水ではバクテリアの定着速度が淡水に比べて多種多様で、定着するまで遅かったり、定着しても安定性が低かったりします。
その為、ミドリフグを導入する前から水槽を立ち上げ、フィルターを回してバクテリアを増やしておくと飼育がしやすくなります。
海水用のバクテリア剤などを使用すると、初期段階から定着が早くなるのでオススメです。
ちなみに、濾過能力を高めるには理由があって、アンモニアというのは弱酸性の水質よりも、弱アルカリ性の方が圧倒的に毒性が高くなるんですね。
厳密にいえば、弱酸性ではアンモニウムイオンの状態でとどまっているのが、弱アルカリ性になるとアンモニアの状態となり、PHが7.3を超えたあたりから急速に増加していきます。
この時に、バクテリアによる生物濾過がしっかりと効いていないと、水質悪化によってとても飼育が出来ない水質になることもあるので、フィルターと生物濾過に関してはかなり重要となってきます。
むしろ、この部分がしっかり出来れば飼育は余裕です!
強靭な歯を持つ魚
フグの「歯」ってみたことがありますか!?
フグ全般に言えることなんですが、メチャクチャ強靭な歯を持つ魚なんですね(汗
ピラニアが牙(キバ)なら、フグは爪切りのような感じです・・・。
大きいフグだと、ヒーターのコードとか、エアーチューブを噛んでボロボロにしてしまうほど力が強いんですね。
ミドリフグは小さいフグですが、コード関係はかじられないように、ネットでガードするなどの工夫をした方が無難です。
※特にヒーターは。。。
そして、この歯は伸びてくるんですね。
歯が伸びすぎると、餌を十分に食べられずに痩せてしまうこともあります。
歯の伸びを防ぐには硬いものを食べさせることなんですが、僕が飼育していた時のミドリフグは、サンゴ砂をかじって伸びが遅かったです。
なので、少し大きめのサンゴ砂を使うといいかもしれません。
また、スネール類を与えるのも有効だと言われます。
フグにとって貝類は大好物なので、良き餌にもなるんですね。
フグは生餌を好み、小魚や小エビ類などを餌として与えると喜んで食べます。
クリルなどの人工飼料も、慣らせば食べるようになるので、コスト面を考えると早めに人工飼料に慣らした方が良いでしょう。
また、上記リンクのラッドラムズホーンは自宅で無限増殖が出来るので、実質ゼロコストで生餌を与えることが可能です。(手間はかかりますが・・・)
飛び出し要注意!
フグは飛び出し事故の多い魚で知られます。
良くあるのが、複数で飼育していて他のフグに攻撃されてビックリした個体が、勢いよく飛び跳ねるということです。
そのまま水槽の外へ行ってしまったらthe endなので、必ずフタの設置を忘れずにしましょう!