市販のアクアリウム用「バクテリア剤(液)」の効果とは!?使用するメリットとデメリットについて

水質・水合わせに関して

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アクアリウムで熱帯魚の健康を維持するには、有害な物質を無害化してくれる微生物の存在が必要不可欠です。

有害な物質とは主にアンモニアや亜硝酸を指し、これらを餌にして無害な物質へと変える「生物濾過」を行うのがバクテリアと呼ばれる微生物なんですね。

この濾過バクテリアは、立ち上げ当初は水槽内にはいませんが自然発生して増えていきます。

ただ、アクアリウムの商品には「バクテリア剤」と呼ばれる、生きた濾過バクテリアの入ったものが多数存在しています。

バクテリアは水槽内に居なくてはいけない存在なので、こういった商品の効果はどのくらいか気になる人も多いはずです。

ここでは、市販のバクテリア剤のメリットやデメリットについてご説明していきます。

 

濾過バクテリアについて

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アクアリウムで、アンモニアや亜硝酸を分解してくれるバクテリアとは2種類存在します。

  • ニトロソモナス属
  • ニトロバクター属

ニトロソモナスと呼ばれるバクテリアは、熱帯魚にとって最も有害・有毒とされるアンモニアを亜硝酸に変えてくれる微生物です。

ニトロバクターは、その亜硝酸を害の少ない硝酸塩へと変えてくれます。

つまり、この2種類のバクテリアが存在して初めて「生物濾過」が成り立つという訳なんです。

ちなみに、ニトロソモナスは休眠加工を施すことで、常温での保存が可能なバクテリアで知られています。

多くのバクテリア剤では、このニトロソモナスが入っていると考えていいと思います。

一方で、ニトロバクターの場合は、休眠加工が難しいとされています。

その為、ニトロバクターが入っているバクテリア剤は、生きた状態で存在することになり、使用期限が短い、常温での保存は不可能だったり、取り扱いがニトロソモナスと比べて圧倒的に難しい面があるんですね。

そもそもバクテリア剤の使用は「意味がない」という人も多く、目に見えた効果が分かりずらいというのは正直いって難点です。

とはいっても、商品化されるくらいですから何かしらのメリット必ず存在します。

以下で、バクテリア剤のメリットとデメリットを挙げていきます。

 

バクテリア剤のメリットについて

バクテリア剤を使用するメリットは、水槽立ち上げ当初の「まだバクテリアが存在していない時期」でしょう。

通常、バクテリアが繁殖して定着するまでは早くても2週間、遅くとも1カ月はかかるといわれています。

バクテリアは、いたるところに存在しています。

空気中にも存在する為、水面部分から水槽内に酸素と同じように入り込むので、放っておいても時間が経てば勝手に増えていきます。

ただし、バクテリアが増えるには時間がかかってしまいますよね。

そこで、バクテリア剤を投入して、強制的に水槽内のバクテリアの数を増やしてあげるんですね。

バクテリアの数が多いということは、生物濾過の能力が高まるということにもなりますので、熱帯魚を安心して飼育する環境をすぐに作り上げることが出来るということにもなるんです。

また、市販のバクテリア剤にはアンモニアを分解してくれる、ニトロソモナスが休眠加工された状態で入っています。

生体を飼育すると、排泄物はもちろん、餌の食べ残しからもアンモニアが発生していきます。

バクテリアが存在していなければ、アンモニア濃度がどんどん高くなっていくので、そもそも生体自体を飼育することが出来ないです。

そんな、有毒な物質を無害化させてくれるお陰で、生体がいち早く飼育できることにもなるという考え方もできますね。

 

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バクテリア剤のデメリット

これは僕の考えですが、そもそもバクテリアって微生物ですから肉眼で確認できませんよね。

なので、バクテリア剤を投入したことによってどのように良くなったかの効果が分かりずらいです。

バクテリア剤を入れてから「なんだか魚たちが元気になった」と思うこともありますが、実際には普段と変わらないけど「元気がいいのはバクテリア剤のお陰だ!」と思い込んでしまうところも少なからずあるかと思います。

でも、本当のところバクテリア剤が直接的に影響しているかは、分からないですよね(汗

また、バクテリア剤のほとんどは濾過が既に効いている水槽では、使用する意味がない場合が多いといわれます。

※濾過が効いているというのは、バクテリアが繁殖して、ろ過材などに定着し、生物濾過が安定していることです。

そもそもバクテリアは、勝手に増えていくもので、あとから投入しても既存のバクテリアに入れ替わるだけで意味がないそうですね。

立ち上げ当初に入れたバクテリアも、徐々に時間が経つにつれて、自然繁殖で増えるバクテリアに入れ替わっていくんだとか。

そして、最大の問題は亜硝酸を分解するニトロバクターが入っているかどうかです。

ニトロソモナスとニトロバクターの2種類がいてこそ生物濾過が成り立ちます。

ニトロソモナスは容易に保存が出来るため、安心して水槽内に投入することが出来ます。

しかし、アンモニア成分のみを分解して亜硝酸に変えるんですね。

ここでニトロバクターがいなければ、アンモニアよりは無害ではありますが、亜硝酸として水槽内に蓄積されることになりますね。

これだと、生体に悪影響を及ぼしかねません。

なので、ニトロソモナスだけを投入するくらいなら、時間をかけてしっかりとバクテリアを定着した方が安心して生体を飼育することが出来ます。

 

ニトロバクターの製品の問題点

ニトロバクターも入っているバクテリア剤であれば、アンモニア→亜硝酸→硝酸塩という風に、生物濾過が出来る環境を作ることが出来ます。

しかし、ニトロバクターは保存が難しいんですね。

上記でも書きましたが、休眠加工することが難しいため、普通は生きた状態で販売されています。

そういった商品は、常温での保存はNGとされ、多くは冷蔵保存されています。

また、使用期限も短いです。

なので、入荷時期や保存状況などによっては、既に製品の中に入っているニトロバクターが死んでしまっていて、全く効果が得られないことも考えられます。

 

まとめ

  • バクテリア剤の使用は水槽立ち上げ当初のみが望ましい
  • 製品にニトロバクターが入っているか確認する
  • 保存状況や入荷時期を確認し、信頼のできるショップで購入する

バクテリアは、いちど定着してしまえばバクテリア剤のような商品に頼る必要はなくなります。

普通はフィルターを回して、あとは放っておくだけでも増えていくバクテリアですが、「早く熱帯魚を導入したい!」という場合は、役に立つ商品とであることに間違いありません。

 

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