“熱帯魚の王様”と称される「ディスカス」をご存知でしょうか?
体表面積が広く、円盤のように丸い姿があまりにも特徴の熱帯魚で、あまりにも美しい色彩から世界中で絶大な人気を誇ります。
ディスカスは、現地採取個体(ワイルド)だけじゃなく、多くの改良品種が作出されているため、一言でディスカスと言っても、そのバリエーションは数えきれないほど存在します。
そして、どのディスカスも色彩が驚くほど美しい種しか存在しなく、どのディスカスにしようか迷う方も非常に多いと思います。
ひと昔前までは飼育がとても難しいことで有名でしたが、今ではフィルターなどの性能が向上したり、何よりもネットの普及によって「情報」が簡単に得られるため、それほど飼育が難しいという印象は受けません。
とても美しく魅力的な熱帯魚なので、飼育に慣れてきたら是非「ディスカスの飼育にもチャレンジして頂きたい!」、、、そんな魚です!
以下では、ディスカスの飼育方法や導入時の注意点についてご説明していきます。
ディスカスについて
ディスカスは、ブラジルやペルー、コロンビアなど中南米~南米に生息するシクリッドに属する熱帯魚です。
「ワイルド個体」、「改良品種」が流通し、美しい改良品種が多く出回る中、ワイルド個体も根強い人気を誇っています。
※ワイルド個体と言うのは、生息地に泳いているディスカスを捕まえて日本に輸入されてくる個体で、改良品種とは自然界には存在していない個体で、様々な個体を意図的に掛け合わせて作出された品種になります。
ディスカスとは、「円盤」を意味する言葉ですが、その名の通り円盤を立てたような姿をしていることからこの名前が由来しているんですね。
体表面積が広く、とにかく美しい色彩・模様が楽しめる魚であることから、「熱帯魚の王様」と称されるほどの存在です。
ディスカスの飼育データ
- 体長:20cm
- 水温:27℃~32℃
- 水質:弱酸性~中性
- 寿命:5年~10年
- 参考価格:1匹あたり数千円~数万円(種類によってピンキリです)
※適正水温は、小さい頃は30℃~32℃と高水温が望ましく、12cmを超えたあたりから28℃くらいで飼育が可能です。
※適正温度が高いので、必ずサーモスタッド(温度調節器)付のヒーターが必須となります。
ディスカスは、体長が最大で20cmほどまで成長する中型の熱帯魚です。
食べられないサイズで温和な種とは混泳が可能ですが、ディスカスは高水温を好む熱帯魚なので、混泳させる種も高水温でも問題なく飼育できる種に限られてきます。
同種同種でも問題なく群泳ぐ出来ますが、縄張り意識が強く、一番強い個体がテリトリーを主張するようになります。
2,3匹と少数で飼育すると、弱い個体が強い個体に一方的に攻撃されて、弱ってしまう場合があります。
なので、ある程度まとまった数(5匹、10匹など)で飼育するのが望ましいです。
そうすることで、縄張り意識を低下させる効果があるのと、弱い個体が一方的に攻撃されるのを防ぐ効果をもたらし、バランス良く飼育することが出来るようになります。
ただ、あまりに攻撃対象にされて逃げ回っているような個体がいる場合は、水槽に仕切りを入れたり、別水槽に隔離するなどの処置が必要な場合もあります。
ディスカスは水質に敏感な熱帯魚!
ディスカスは「水質に敏感」で有名で、僕が子供のころの本には「毎日の換水が必要」という文言が必ず入っていたくらいです(笑
まず、ワイルド個体は現地の水質を再現しなくてはいけないので飼育が難しい方ですが、改良品種に関しては逆に飼育はそれほど難しくありません。
なので、初心者の方にはまず「改良品種」から飼育に慣れていくのも一つの手だといえます。
とは言っても、改良品種もワイルド個体であっても同じディスカスに変わりはありませんので、水質管理はしっかりと行わなくてはいけません。
まず、水質の知識としては生物濾過(バクテリアが水を綺麗にするサイクル)が最も重要です。
フィルターは、ろ材をタップリ入れられる「上部フィルター」や「外部式フィルター(超オススメ)」があると飼育がかなり楽になります。
また、「ろ材の洗い方」にも注意が必要で、水道水でジャブジャブ洗うのは絶対にNGです!
その理由を下記の記事で詳しくご書いておりますのでご覧になってみて下さいね!
購入するときには、既に水槽を立ち上げてフィルターを回し、少なくても2週間以上は経っている状態が望ましいです。
最初はバクテリアが全くいなく、またバクテリアの餌になる物質も無いため、市販のバクテリアを入れておくか、意図的に増やす方法もあります。
また、実際にメインのディスカスを入れる前に、水槽が完全に立ち上がっているかどうか確かめる方法の一つとして有効な「パイロットフィッシュ」を導入して確かめるのもオススメです。
パイロットフィッシュを入れて1週間以上経っても問題が見られない場合は、ディスカスを導入してOKです!
パイロットフィッシュに利用した魚は、別水槽でしっかりと飼育するか、飼育できないという場合はショップに引き取ってもらうといいです。
※予めパイロットフィッシュとして導入して、引き取ってもらえるか了承を取っておくといいかもしれませんね!
ディスカスを購入してきたら、水槽内に入れる前に必ず「水合わせ」を行いましょう!
飼育は「ベアタンク方式」がお勧め!
ディスカスの飼育は、古くから「ベアタンク方式」といって、砂利も敷かない、流木や水草なども一切入れない、入れるのはヒーターとか水温計、フィルターの吸水パイプなど飼育に必要不可欠なモノだけというシンプルなレイアウトが用いられることが多いです。
なぜこのような飼育方式を用いるかと言うと、ディスカスは水質に敏感な熱帯魚だと上で説明しましたよね。
砂利を敷けば、ゴミや排泄物などが低砂の中に入り込み水質悪化の原因を作る。
でも、砂利とか何もないスッキリとしたレイアウトだと、底に溜まったゴミや排泄物はピンポイントでカンペキに除去でき、何より掃除がとてもしやすいです。
それによって、水質維持も楽になり、結果的にディスカス飼育をしやすくすることに繋がるんですね。
美しい熱帯魚なので水草レイアウトで飼育したいと思う方も多いはずですが、ディスカスは体表面積が広くインパクトがとても強いので、スッキリしたレイアウトでも観賞価値は非常に高いですよ!
とはいっても、絶対にベアタンクじゃなきゃダメってわけではなく、あくまでも水質管理や維持がしやすいという理由で用いられるだけなので、飼育に慣れてきたら水草レイアウトでの飼育にチャレンジしてみるのもいいかもしれませんよ。
ディスカスの餌について
ディスカスは、人工飼料の他に、専用の「ディスカスハンバーグ」という生餌をメインに与えることが多いです。
ディスカスハンバーグと言うのは、メイン素材は牛のハツ(心臓)が使用されており、そこに様々な栄養をや色揚げ成分などを配合した餌で、バリエーションが豊富です。
※色揚げ用(赤色・青色・黄色など色別タイプがあるので要確認を!)や育成用、虫下しなど様々なタイプがあるので、飼育しているディスカスに合ったものを選ぶようにしましょう!
基本的には板状で冷凍された状態になっています。
冷凍飼料の為、消費期限を確認して与えられる分量だけ購入するようにするといいでしょう。
また、ディスカスハンバーグをあたえると水がかなり汚れるので、食べ終わったら少量だけでも換水するのが望ましいです。
専用の人工飼料も充実しており、普通の育成用や色揚げ用(赤色・青色タイプ別あり)などがありますので、早めに慣れさせておくと後々の飼育が楽です。
人工飼料になかなか餌付かない時は、冷凍アカムシと併用して与えるなどして徐々に慣らしていくといいでしょう。
ディスカスの繁殖について
ディスカスは飼育そのものが魅力的な熱帯魚ですが、繁殖にも是非チャレンジして頂きたいです。
もちろん水槽内での繁殖が可能で、まずはペアを得る必要があります。
最初からペアで購入するのも良いですし、10匹くらいまとめて飼育して、そこから自然に形成されるペアを獲得するかのどちらかになるでしょう。
いずれにしても、繁殖を狙う場合はペアだけでの飼育が基本となります。
ちなみに、複数匹で飼育してペアを得る場合、その群れの中で一番最初に出来るペアが最も優良なペアとなります。
喧嘩もほとんどしないし、繁殖の成功率が高いんですね。
逆に、後に形成されるペアほど相性が悪く、よく喧嘩したり、食卵してしまったりと問題が多いことが分かっています。
・・・人間と似ているようなところがありますよね!?
仲の良いペアの場合は、すれ違いざまに頭を下げて「おじぎ」のような行動が見らるので、観察していた楽しい時期でもあります。
ディスカスの繁殖には、産卵筒と呼ばれる「卵を産み付ける場所」を設置してあげるといいでしょう。
なくても、フィルターなどのパイプ部分などに産み付けますが、やはり面積の広い専用の筒があった方が便利です。
水槽内の水流は極めて緩やかにし、pH値を6.5から徐々に下げ6.0くらいまでにすることで産卵を促すことが出来ます。
pH値を下げる時は、水質調整剤を利用します。
また、自分の水槽の水がどのくらいのpH値なのか測るためには「デジタル型」のpHメーターが便利です。
理科の実験でやった紙を使って色で判断するのではなく、デジタル体温計のように正確な数値をドン!と現してくれる今どきの便利アイテムです!
産卵後は、ペアで卵・稚魚の世話をするので隔離させる必要はありません。
若いペアだと、無精卵が多いことがありますが、これは産卵の回数を重ねるごとに改善されてくるので心配する必要もないです。
ただ、ペアによっては食卵をすることがあり、これが癖づいてしまって毎回食べてしまうこともあります。
卵を食べてしまう原因は、水質悪化や音によるストレス等の理由もあるので、産卵水槽はなるべくストレスを与えないように心がける必要があるんですね。
孵化したばかりの稚魚は、親魚が体表から分泌させる「通称:ディスカスミルク」を餌にします。
次第に、ディスカスミルク以外も口にするようになるので、その段階まで来たら栄養価の豊富なブラインシュリンプに切り替えるといいでしょう。